リヴァプールの試合前に必ず歌われるチャント「You'll Never Walk Alone」
更新日:3月11日

19世紀時代から使用されているチャント(anthem)は、今やクラブチームにとって欠かせないものとなっている。時代を超えて受け継がれている独自の曲は、クラブの象徴である。
今回は、リヴァプールの代表曲である「You'll Never Walk Alone(YNWA)」に着目し、Kopites*が歌うようになった理由、そして、リヴァプールを象徴する曲まで上り詰めた背景を述べていく。
Kopites* = リヴァプールサポーター
| You'll Never Walk Alone
「You'll Never Walk Alone」は、米国の作曲家(ロジャース&ハマースタイン)によって1945年に出版され、1963年に、イギリスのバンド(ジェリー&ザ・ペースメーカーズ)がこの曲をカバーし、イギリスでリリースされた。

この曲が後にLFC(Liverpool Football Club)を象徴するチャントへと変化していくとは誰も想像していなかった。
発端は、当時のリヴァプールの監督であったビリー・シャンクリー(Billy Shankly)が繰り返し流すようになったからだと言われている。
当時の選手、トミー・スミス(Tommy Smith)が「シャンクリーはその曲を聴いて驚嘆していた」と語ったように、クラブ内ではすでに周知の曲であったようだ。
さらに、この情報を記者陣が嗅ぎつけ、「YNWAがリヴァプールの新たなクラブソング」と報じたことにより、ファンにも伝わるようになった。
1965年のFAカップ決勝のテレビ映像では、リヴァプールのサポーターがスタンドでYNWAを歌っている様子が確認されており、これがこの曲がクラブの公式チャントとなった証拠の一つとされている。

YNWAがリヴァプールファンをより一層象徴することとなったのは、1989年に発生したヒルズボロの悲劇の後だった。
この事故では、シェフィールドのヒルズボロ・スタジアムで群衆の圧死事故が発生し、96人のリバプール・サポーターが命を落とした。

これはイギリスのスポーツ史上、最も悲惨な事故となった。
この悲劇の中で、YNWAは歌の領域を超え、正義を求める声としての役割を果たした。
犠牲者の家族や友人に向けて、「あなたは決して一人ではない」というメッセージを届け、支えとなったのである。

YNWAには作曲された時代から今まで存在した全ての出来事が一つの歌に詰まっている。
クラブが築き上げた歴史を物語り、選手、サポーター、スタッフ一人一人に歩み寄る、希望と団結の象徴へと変貌していった。
【チャント(Anthem)】
【歌詞(Lyrics)】

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