日本人が英語が下手な理由は「発音」にある
更新日:10月12日
どうもTakiです!
私は今までにイギリスの大学への交換留学などを通して、海外の人たちとたくさん交流をしてきました。
その中で、ひしひしと感じたのが私を含めた「日本人英語下手すぎ」問題です。
なぜ日本人の英語のレベルは低いのでしょうか?
様々な要因が考えられますが、今回は「発音」に焦点を当てて考えてみたいと思います。
目次
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|日本人の英語力
私は中学1年生の頃から学校の授業で英語を習い始め、いわゆる「純ジャパ」として他の日本人の生徒たちと同じように英語学習を重ねてきました。
だんだん英語が得意になってきて、テストの成績も良く、着実に自信をつけていきました。
しかし、ひとたび海外に行くと、そんな自信ははかなくも打ち砕かれました。
自分はたどたどしい英語しか喋れないのに、海外の人たちはネイティブでなくてもまるでネイティブかのようにスラスラと英語を操っていたのです。
日本では英語が得意だと思っていた自分にとっては衝撃的でした。
彼らの会話についていきたくても、まず何を言っているのか全然わからない、言いたいことがあってもなかなか英語として出てこない、そんなこんなしているうちに1人だけ会話から置いて行かれてしまう、、、
そんな状況に何度も直面しました。
他の留学経験者などに話を聞いても、みな口を揃えてそのような苦い経験について語ってくれました。
留学などに行ったことがない人であっても、なんとなく日本人の英語のレベルが低いことは想像できるのではないでしょうか?
実際、世界中の国々の英語能力を分析した「EF EPI英語能力指数ランキング第2023年版」では、日本は113カ国中87位とかなり低い順位に位置しています。
これはマレーシア(25位)や韓国(49位)、ベトナム(58位)など他のアジア諸国と比べても低く、アフガニスタン(88位)やパレスチナ(92位)などまともに教育システムが機能していないような地域と同程度です。
|日本の英語教育は「発音」が欠落している
しかし、単に英語力といってもその内容によって話は大きく変わってきます。
英語にはリーディング、ライティング、リスニング、スピーキングという4つの技能がありますが、リーディングに関しては苦手意識を持っていない人も多いのではないでしょうか?
学校の授業ではリーディングが中心ですし、大学受験の難関校になれば非常に高度な文章が出題されるので、リーディング力はおのずと鍛えられます。
また、ライティングに関してはあまり日本人が得意な訳ではないと思いますが、そもそもライティングはわからない部分があれば調べたりしながら自分のペースで比較的ゆっくりできるものですし、英語論文を書く際などを除けばそこまで高度な英語を書かなければいけない場面が多い訳でもないため、多くの人にとって一番の問題ではないでしょう。
ほとんどの人が一番苦労するのは、実際のコミュニケーションでの部分、つまりリスニングとスピーキングではないでしょうか?
教科書の上で英語を勉強するのは得意だけど、実際に外国人を目の前にすると何もわからなくなってしまう、というような方は多いと思います。
なぜそうなってしまうのでしょうか?
それは、「発音」が関わってくるからです。
実は、リスニングとスピーキングは本質的にリーディングとライティングとは異なる性質を持っています。
リーディングは文を黙って読むだけ、ライティングは文を黙って書くだけなので、英語がどのような音で発せられるのかという知識は必要ありません。
ですが、リスニングとスピーキングでは「発音」、つまり聞いた音がどう文字に変換されるのか、また文字がどのように音に変換されるのかを理解していないとできません。
しかし、日本の学校の英語教育ではその「発音」に関することにほとんど焦点が当たっていないのです。
|「発音」とは何を意味するのか
「発音」についてもう少し詳しく説明しましょう。
例えば、Footという単語を発音するとします。
英語の発音は発音記号で全て表され、Footの場合は/fut/です。
/f/の音は上の歯を下唇に当てて隙間から息を出すことで発音します。
/u/の音は唇をやや丸めて軽く「ウ」と発音します。
/t/の音は舌の先を上の歯茎につけて息を止め、舌を勢いよく離すと同時に息を出して発音します。
そして、それらを全て繋ぎ合わせることで/fut/と発音できるのです。
どうでしょうか?
学校ではなかなかここまで細かく教えてくれませんよね。
ほとんどの方はFootという単語を見てなんとなく発音を想像して、なんとなく「フット」と発音しているだけなのではないでしょうか?
|なぜ「発音」が重要か
これの何が問題なのかというと、まず自分がFootと言っているつもりでも、発音が正しくないとFootだと通じません。
FootにはFoodやHood、Hookなど、似ている発音の単語が多くあるので、綺麗に発音しないと相手を混乱させてしまいます。
逆も然りで、Footの発音を正しく理解していないと、相手がFoot、Food、Hood、Hookのどれを言ったのかわからなくなってしまいます。
さらに問題を難しくするのは、ネイティブスピーカーが英語を話すときは、しばしば音が脱落したり繋がったりするということです。
Footの例で言えば、/fʊt/の最後の/t/の音はしばしばほとんど発音されません。
しかし、Footの後にandなどの母音から始まる単語が来ると、tとaが繋がって/t/の音が復活することもあります。
このような文章内での音の変化は、国や地域、個人によって差はあるものの、一定の規則があります。
これらを正しく理解していないことが、カタカナ英語になってしまったりネイティブの英語が聞き取れない大きな要因のひとつです。
試しに次のイングランド代表デクラン・ライスの記者会見の動画を聞いてみてください。
いかがでしたでしょうか?
彼の英語は標準的なイギリス英語ですが、学校やテストで出てくるリスニングとは雲泥の差の難易度ですよね。
使われている表現や文法自体は平易なのにも関わらず聞き取りが難しいのは、スピードが速いことに加えて先程言ったように音を脱落させたり繋げたりしながら喋っているからです。
例えば、冒頭に"Look"と言ったとき、最後の/k/の音は発音されていません。
"When he said"では、Whenの発音記号は/wɛn/ですが実際は/wən/のように/ɛ/の音は強く発音されません。
また、Whenの/n/とheが繋がり、heも短く発音されているため、/wən hiː/ではなく/wəni/のようになっています。
さらに、saidの最後の/d/の音も脱落しています。
「ネイティブの英語はスピードが速すぎてわからない」、「海外で生活して速さに慣れれば大丈夫」といったことをよく聞きますが、私の考えではスピードだけでなく以上のような発音規則も極めて重要です。
これらを正しく理解せずにどれだけネイティブの英語を聞いても、効果は限定的でしょう。
|「発音」はスピーキングでも大切
リスニングにおいて「発音」が重要であることは理解していただけたかと思います。
ではスピーキングにおいてはどうでしょうか?
「発音が悪くても通じればOK!」というような意見を持っている方は多くいると思います。
私は、これは間違いだとは思いません。
英語は結局はコミュニケーションツールですから、どんなに発音が悪くても通じることが一番重要だと思います。
しかし、だからといって発音が悪いままで何も問題がない訳ではありません。
自分の発音を正しく矯正することで得られるメリットはたくさんあります。
より相手にとって聞き取りやすい英語になる、よりスラスラと話せるようになるなどもそうですが、一番はリスニング力向上の役に立つということでしょう。
自分の発音とリスニングは一見あまり関係がないようにも思えますが、実は非常に重要な関連性を持っています。
それは、「自分で発音できる音は聞き取れる」ということです。
考えてみれば当たり前ですよね。
自分でその音を発することができているならば、それと全く同じ音を別の誰かが言ったとしても理解できるはずです。
そのため、リスニング力を上げるためには、リスニングの練習だけでなくスピーキングでの自分の発音を見直すことも大切です。
だからこそ、英語学習において「発音」はリスニングでもスピーキングでも極めて重要な要素なのです。
|「発音」をマスターするには
では、正しい発音を身に着けるには具体的にどうしたら良いのでしょうか?
まずは、発音記号ごとの発音の仕方や、音の脱落、繋がり等の規則を覚えましょう。
これらについては、ネットで調べれば以下のように様々なサイトが出てきます。
これらを用いて一通り発音のルールを学んだら、あとは実践練習です。
勉強方法はいろいろあり一概にどれが一番正しいとは言えませんが、ここではひとつの例をご紹介します。
STEP1. 何も見ずに英語の文章を聞く。 STEP2. スクリプトや字幕を見て答えを確認する。 STEP3. スクリプトや字幕を見ながら英文を流し、聞き取れなかった部分の発音を理解できるまで聞き直す。 STEP4. もう一度何も見ずに英文を流し、全ての音を聞き取れるまで聞き直す。 STEP5. 流した音声と同じように発音できるようになるまで音読を繰り返す。 STEP6. 日々発音を意識しながらスピーキング練習をする。 |
この練習を何度も何度も行えば、発音を理解する→聞き取れるようになる→スピーキングに反映する→発音を理解する→ … というサイクルができあがり、どんどんリスニングとスピーキングの能力が向上していくでしょう。
練習に使う題材は、学校の教科書でも音楽でも映画やドラマでも何でも構いません。
自分のレベルに合っていて、自分が楽しみながら行えるものを選びましょう。
ただし、学校の教科書などは日本人のために作られたものなので、実際のネイティブの話し方よりもはるかにわかりやすく録音されています。
ですので、自身のレベルが上がってきたら、できるだけネイティブがネイティブのために作っているコンテンツを用いることをおすすめします。
STEP6のスピーキング練習に関しては、話し相手がいないというお悩みを抱えている方も多いことでしょう。
しかし、最近はオンライン英会話やLanguage Exchangeなどのサービスを使えば、手軽に英語を話す機会は確保できます。
他にも、ChatGPTの音声会話機能を使えば、まるで本物の人間さながらの会話を練習することができます。
また、自分がスラスラ話せるようになるという観点では、必ずしも相手が必要な訳ではありません。
自分で好きなテーマを決めて独り言を言うだけでも十分スピーキング能力は向上します。
このように様々な方法を用いることで、たとえ身の回りに外国人がいなかったり海外に行く機会がなかったとしても、スピーキングの練習を行うことは可能なのです。
|おわりに
いかかでしたでしょうか?
日本の英語教育ではあまり重要視されない「発音」ですが、実は極めて重要なものであるということをご説明してきました。
「発音」を理解すれば、今までよりももっと英語のコミュニケーションができるようになるはずです。
皆さんもこれからはもっと「発音」を意識して英語学習に取り組んでいきましょう!